CRT、CRT-D

CRT(心臓再同期療法)について

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こんにちは。bob.channelです。

 

今日はCRTについて書いていきます。CRTは臨床で見ることは比較的少ないデバイスですよね。あまり見ないがゆえ、よく分からない、さらに、情報が少ない。だからあまり学習できないみたいな感じではないでしょうか?なるべくCRTが必要な心臓の状態をイメージできる記事にします。

 

ではさっそく解説していきます。

 

【心不全、CRT】

CRT(心臓再同期療法)=両室ペーシング

CRT=心臓再同期療法とは 再同期の言葉の通り再び同期させるデバイスです。あくまでも十分な薬物治療が原則となります。薬物治療せずにいきなりCRTの適応になることはありません。

もう少し具体的に、、、説明していきます。

 

CRT(心臓再同期療法)の目的

心不全では心臓内の収縮のタイミングのずれ(同期不全)を合併していることが多いためペーシングにより同期不全を改善し、心機能を向上させ自覚症状や予後の改善を目的とするものです。

すなわち、心不全の根本的な治療ではQOLの改善を目指す治療です。CRTにはCRT-P(ペーシング機能付き)とCRT-D(除細動器機能付き)があります。CRT-PのことをCRTと呼び、CRT-DはそのままCRT-Dと呼んでいることもあると思います。

 

心臓再同期療法と覚えるよりも両室ペーシングと覚えることをお勧めします。両室(左室、右室)をペーシングして同時に動かすものであると覚えるとなんとなくイメージしやすいと思います。

 

CRT(心臓再同期療法)が必要な心臓(心不全)とは

心不全の重症例では心室内変更伝導を伴うことが多く、慢性心不全の約1/3がQRS幅120ms以上の左脚ブロック型です。

左脚ブロックがあると右脚が先に刺激され右室が興奮しその後に左脚が刺激され左室が興奮します。左右の脚が同時に収縮できずに右室→左脚 の順に収縮します(収縮開始にズレ=同期不全)。同期不全は後ほど説明します。

このように同時に収縮できないと心室は効率よく血液を拍出できません。そこで、CRT=両室ペーシングの出番です。両室ペーシングにより可能な限り左右の心室を同時に収縮させ心機能を改善させます。

 

CRT-P

CRT-PとはCRTにペースメーカー機能がついているものです。CRT-PのPはPacemakerの略です。

CRT+Pacemaker=CRT-Pと言い換えられます。

 

CRT-Pの機能

  • 右心房ペーシング
  • 右心室ペーシング
  • 左心室ペーシング

の3つです。

 

CRT−Pの心電図波形

心電図上は両室ペーシングではQRS波の前にスパイクを認めます。CRT-PのPはペースメーカー機能なのでモードに応じて波形が変化します。CRT−Dの心電図波形は後ほど説明します。

 

CRT(心臓再同期療法)のリードの位置

ペースメーカーだけなら右房、右室にリードを留置しますよね。ペースメーカーのモード別のリードの位置はこちらを参照。

CRTのリードは右房、右室に加え左冠状静脈の3箇所にリードを留置します。左冠状静脈にリードを留置することは難しい(リード位置の難しさ、手技の難しさ)ため手術時間はペースメーカーより長くなります。

 

心臓同期不全とは

心臓の同期不全は3つあります。房室間同期不全、心室間同期不全、心室内同期不全の3つです。CRTはこの3つの同期不全を改善させます。

 

CRTが必要な人の心臓のイメージ、、、

心室がバラバラに動いているということは血液を全身へ送り出す左室は正常な収縮(同期不全がない)時よりもかなり頑張らないといけないため代償として左室の心筋が肥大します=心室のリモデリング

 

心室リモデリング

心室リモデリングとは心臓が負荷に対応して循環動態を一定に保つために構造と形態を変化させることで、とくに左室拡大、収縮力低下、心筋の繊維化などを起こしている状態です。

 

フランク•スターリングの法則

正常な心臓では左室拡張期末期容積が大きい(どれだけ血液を貯める容量が大きいか)と心拍出量は増えます。

しかし心不全のように心機能が低下した心臓では代償として左室が拡大して血液を貯める容積が大きくなっても心拍出量はあまり増加しません。

むしろ、血液が多くなると心臓がもっと強い力で全身へ血液を送ろうとするため心臓への負担が増していき心不全が悪化していきます。

 

➡︎この悪循環を改善させるために両室ペーシングを行います。

 

CRTにより、

同期不全改善→心機能向上→自覚症状•予後改善→QOL向上という流れです。

 

CRT(心臓再同期療法)の適応

適応にはLVEFNYHA心機能分類 の知識が必要となります。

LVEF:左室駆出率

左室にたまった血液の何%が大動脈に送り出したかを示す指標のこと(基本は心エコーで求められる)

NYHA心機能分類

 

NYHA心機能分類別のCRT適応

〈NYHA心機能分類III~IVの適応〉

  • 具体的にはNYHAⅢ〜ⅣのLVEF≦35%、QRS幅120ms以上で適応

➡︎CRTを留置することでQOLの改善や左室リモデリングの改善(リバースリモデリング)が期待できます。

〈NYHA心機能分類I~IIの適応〉

  • 具体的にはNYHAⅠ〜ⅡのLVEF≦40%、QRS幅120ms以上で適応

➡︎CRTを留置することでLVEFの改善、心不全による入院リスク減少が期待できます。

  • データ上、NYHAⅡでQRS幅150ms以上の特に左客ブロックでCRTの高い有効性を認める

👉NYHAⅡ以上の心不全症状のある左室機能低下(LVEF≦30%)を伴うQRS幅150ms以上の心不全でCRTが有効と考えられいます。

 

大事なのでもう一度言いますが、CRTの適応はあくまでも十分な薬物治療が原則です。

βブロッカー、ACE阻害薬、ARBなどの薬物療法などでリバースリモデリングを認めることもあるため、基本は薬物治療導入後3ヶ月未満の場合はCRTの適応にはなりません。ただし、CRTを導入することでβブロッカーなどを増量でき、心不全の進行を抑えられQOLの向上を期待できることもあるためCRTの適応は慎重に考えられます(もちろん本人の意思が第一であり、CRT導入によりQOL向上が期待できたとしても、患者本人が拒否するなら導入はできません)。

 

適応については研究でQRS幅によるデータもあり本記事には記載していない内容も多くあります。ガイドライン上にもっと細かいことが載ってます。細かいことは知りたければガイドラインを!不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版) – 日本循環器学会

 

CRT-D

CRT-DとはCRTに除細動機能がついているものです。CRT-DのDは除細動器(Defibrillator)の略です。

CRT+ICD=CRT-Dと言い換えられます。

 

CRT-Dの機能

  • 右心房ペーシング
  • 右心室ペーシング
  • 左心室ペーシング

に加えて(ここまではCRT-Pと同様)、

  • 抗頻拍ペーシング(ATP)
  • カルディオバージョン(CV)
  • 除細動(Defibrillator)

の3つが加わります。

 

抗頻拍ペーシング(ATP)とは

VT(心室頻拍)検出後、そのVTのHRよりも少し早いRateでペーシングをすることでVTを停止する治療のことです(ちなみにATPの波形としてはペーシングスパイクが短い間隔で出ているような波形になります)。

例えば、HR180回/分のVT時にHR200回/分のATPでペーシングをすると、HR200回程度のペーシング波形になりVTが改善する

みたいな流れで治療できます。

抗頻拍ペーシング(ATP)の利点

  • ATPでの治療中はドキドキする程度で苦痛が少ない
  • 電池の消耗が少ない

抗頻拍ペーシング(ATP)の欠点

  • 頻拍周期の早い不整脈を誘発する可能性がある

先ほどの例えで考えると

HR180回/分のVT(心室頻拍)時にHR200回/分のATPでペーシングし、理想はHR200回程度のペーシング波形になりVTが改善することですが、VTが改善せずにHR200回/分以上のVTに変化する

みたいなイメージです。

 

抗頻拍ペーシング(ATP)の種類

抗頻拍ペーシングはいくつかの種類があります。CRT-Dを製造している会社によってアルゴリズムは異なります。ここではバーストペーシング、ランプペーシング、スキャンについて解説します。

 

Burst Pacing(バーストペーシング)

VT(心室頻拍)よりも短い(VTよりも早い間隔で)一定の周期で連続してペーシングを治療するモードです。

Ramp Pacing(ランプペーシング)

ペーシングの間隔を一拍ごとに短縮させる治療モードです。

Scan(スキャン)

設定回数ごとにペーシング間隔を短縮させる治療モードです。

 

カルディオバージョン(CV)とは

VT(心室頻拍)検出後、ATPの効果がない場合や血圧が低下し直ぐに治療が必要な場合に低いエネルギーの電気ショック(例えば25J)でVTを治療することです。

 

除細動(Defibrillator)とは

心室細動(VF)やVT(心室頻拍)のHRが早い場合にカルディオバージョン(CV)よりも強い電気ショック(例えば40J)で治療することです。患者の状態に応じてATP、CV、除細動の設定が細かく設定されています。

VF時は意識消失していることが多いですが、電気ショックによる衝撃が強く、電池の消耗も大きい特徴があります。

 

まとめ

CRT(心臓再同期療法)とは、、、

  • 原則として十分な薬物治療後に導入する
  • 同期不全を改善する
  • CRT(心臓再同期療法)は両室ペーシングである
  • 心不全の根本的な治療ではQOLの改善を目指す治療である
  • CRTはCRT-P(ペーシング機能付き)とCRT-D(除細動器機能付き)がある
  • CRT-Pの機能はは右心房ペーシング、右心室ペーシング、左心室ペーシング
  • CRT+ICD=CRT-D
  • CRT-Dの機能はCRT-Pの機能に加えて抗頻拍ペーシング(ATP)、カルディオバージョン(CV)、除細動(Defibrillator)がある
  • NYHAⅡ以上の心不全症状のある左室機能低下(LVEF≦30%)を伴うQRS幅150ms以上の心不全でCRTが特に有効と考えられている

 

 

 

以上、bob.channelでした〜

読んでいただきありがとうございます。

 

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