補充収縮、補充調律、房室接合部性調律

補充収縮、補充調律、ジャンクショナルリズムとは

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こんにちは。bob.channelです。

 

今日は意外に質問の多い補充収縮、ジャンクショナルリズムについてです。

さらに、房室ブロック(AVブロック)とは

こちらの記事の完全房室ブロックで補充調律について昨日触れたので補充収縮、補充調律についてもう少し詳しく解説します。

 

【不整脈別解説】

1.補充収縮、補充調律とは

まずは名称から復習しましょう。補充収縮(escape beat)、補充調律(escaped rhythm)と呼ばれます。房室接合部性調律(ジャンクショナルリズム)は後ほど解説します。

 

さて、結論から言います。

「補充収縮」=「遅延収縮」と覚える!

補充収縮・調律は本来のタイミングより遅れてQRS波が出現します。

 

このブログを読んでくれている方は似たようなワードをどこかで見ませんでしたか?

「期外収縮」=「早期収縮」ですね。実はこれも心房性期外収縮(PAC、APC)?基礎から応用まで

ここで覚えるべきは期外収縮は本来のタイミングよりもQRS波が早く出るもので(例外はありますが)、補充収縮は本来のタイミングより遅れてQRS波が出るものです。

 

いつものごとく、イメージしましょう。補充収縮、補充調律、、、はい、その名の通り補充なんですよ。正常なら補充は必要ありませんよね。補充ってどんな時に必要ですか?不足するから補充しますよね。

 

例えば病棟にアルコール消毒が不足したら補充しますよね。じゃ心臓ではなにが不足した時に補充が必要か考えてください。答えは、心拍数です。言い換えると徐脈になったら補充が必要になります。

 

補充しなければいけない状態・徐脈になった原因を探ることが大切です。

 

洞結節からの刺激でスタートして最終的に心室が収縮するこの一連の流れはHR60回/分以上が正常(50回以上と書いてる参考書もありますが)でしたね。絶え間なく刺激伝導系の刺激で心臓は動きますが、洞結節も時々サボります。

サボるのが1拍の時は補充収縮(1拍だけ補充)、なんらかの異常で洞結節の刺激が心室へ届かない場合は連続して補充(補充調律)します。

1拍だけでた場合を補充収縮、連続して出た場合を補充調律と呼びます。

 

例えば房室接合部性収縮であれば1拍のみの出現、房室接合部性調律であれば連続して出現しているものです。

 

通常、洞結節→房室結節→ヒス束と順番に刺激が流れます。普段は洞結節がリーダーとなって司令(刺激)を発しているわけですが、洞結節から司令がなければ洞結節より下位の部位からの司令が出ます(自動能)。その司令は下位になればなるほど減少します。

 

刺激伝導系の知識は必須ですので自信のない方はこちらを参考に! 刺激伝導系ってなに?刺激伝導系の目的は?心電図との関係は?

 

次の項から更に細かく整理していきます。

⑴補充収縮、補充調律の特徴

ポイントは2つ。

  1. P波がない、または、陰性P波(逆伝導性P波)になる
    →洞結節からの刺激ではないため正常なP波にはならない
  2. 基本は徐脈になる
    →本来のタイミングよりも遅れてQRSが出るため徐脈になる
    →自動能は洞結節より下位にいくほど低下するため徐脈になる

逆伝導性P波とは

→Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導で陰性、aVR誘導で陽性のP波のこと(通常と逆ですよね)。

 

⑵補充収縮の分類(ジャンクショナルリズムも含みます)

大きく分けて2つに分けられます。発生部位が房室接合部なのか、心室なのかで分けます。

  1. 房室接合部性補充収縮(調律)
  2. 心室性補充収縮(調律)

ちなみにジャンクショナルリズムって何ですか?という質問多いですが、房室接合部性調律のことです。

復習ですが、房室接合部とは房室結節+ヒス束をまとめた名称です。本来は房室接合部も房室結節とヒス束を区別できたら理想ですが、鑑別が困難なので房室接合部とまとめます。

  1. 房室接合部性補充収縮(調律)
    →QRS波の前にP波を認めない(QRS波と被ってP波が見えない状態)、またはQRS波の直前or直後に陰性P波(逆伝導性P波)を認める
    →更に刺激がヒス束を通っているためQRS波もwideにはならない
  2. 心室性補充収縮(調律)
    →wide QRSになる(ヒス束を通らず心室が単独で収縮するため)
    →P波は認めないまたはQRS波の直後に逆伝導性P波を認める(心室が先に収縮し、その後に心室側から洞結節に向かって刺激がいくためQRS波の後ろに逆伝導性P波を認めることがある)

wide QRSとは(イメージするための補足)

通常は洞結節からの司令(刺激)で上から順番に刺激が伝えられそれぞれが役割を果たしてくれます。しかし、心室性補充調律の場合は洞結節含めた上からのサポートがなく、心室が単独で動くため収縮にも時間を要します。それだけ普段よりも時間を要するためQRS波の幅がwideになるイメージです。

 

⑶心拍数による補充収縮、補充調律の発生部位予測

  1. HR40〜50
    →房室接合部性
    ✳︎HR>60なら促進房室接合部性調律(房室接合部の自動能が亢進した状態)
  2. HR>40
    →ヒス束上位
  3. HR<40
    →ヒス束上位より下位
  4. HR<30
    →心室性

心拍数が45回/分以下になると“アダムスストークス発作”を起こしやすいと言われています。

完全房室ブロックの時は心房と心室がブロックされているのでそれぞれが単独で動き、自動能に頼っている状態なので徐脈になります。

 

アダムスストークス発作とは、、、

不整脈が原因で心臓から脳への血流が急激に低下して眩暈や失神発作を起こすこと

⇨とりあえず眩暈等の症状があればすぐにしゃがんでもらうようにしましょう。

 

 

【まとめ】

補充収縮とは、、、

  • 遅延収縮(本来のタイミングより遅れてQRS波が出現)である
  • 1拍だけでた場合を補充収縮、連続して出た場合を補充調律と呼ぶ
  • 補充収縮・調律の原因、徐脈になった原因を探ることが大切
  • 房室接合性調律は約HR40回以上でwide QRSにはなりにくい
  • 心室性補充調律は約HR40回以下でwide QRSになる
  • 症状はHRが低下すると出現しやすくHR45回以下でアダムスストークス発作を起こしやすい

 

以上、bob.channelでした〜

読んでいただきありがとうございます。

 

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