PSVT

発作性上室性頻拍(PSVT)について

投稿日:2020年1月9日 更新日:

 

こんにちは。bob.channelです。

 

今日は発作性上室性頻拍(PSVT)について解説していきます。病棟でみることの多い不整脈の一つだと思います。

今まで投稿した不整脈の中ではPSVTは難しいですよね。難しいというよりややこしいという表現がピッタリかな。

PSVTの特徴を暗記しようとすると一生覚えられないし、その知識は試験のための学習で終わってしまいます。

例えば心電図検定前に特徴を覚えて正解して満足。検定後はすぐ忘れるみたいな。学生のうちはこの学習方で乗り切れますよね。でも臨床ではこの学習法では限界がありますし暗記しただけで理解したわけではないので、すぐ忘れてしまいますよね。

しかも理解できた!楽しい!もっと学習しよう!というモチベーションにはなりませんね。むしろ暗記を続けていると学習することが辛くなるだけ。

 

この記事を読んだらPSVTをイメージできて、なんか分かった気がする!というレベルになるといいなと願いながら書いてます。

欲を言うともっと知識を深めたい、もっと学習しようというモチベーションになることを願います。学習はアウトプットまでして初めて活きてくると思うのでみなさん頑張りましょう!

 

では、さっそく解説していきます。

 

【不整脈別解説】

1.発作性上室性頻拍(PSVT)とは

PSVTは本来、上室頻拍(SVT)に発作性(paroxysmal)のP をくっつけただけです。PAT(発作性心房頻拍)、PAF(発作性心房細動)も同様にPをくっつけただけですよね。

上室というワードはどんな時に用いられるか覚えてますか?実はこれも心房性期外収縮(PAC、APC)?基礎から応用までこの投稿で記載してますが、P波がよく分からない場合は上室性とまとめます。

イマイチどこの部位なのか分からない、更に一般的なモニター心電図(Ⅱ誘導心電図)上では部位まで特定することは不可能です。

そういう時に範囲の広い上室(上室性)というワードが便利なわけです。

 

まとめると、発作的に上室のどこかで起きた頻拍を発作性上室性頻拍と言います。とは言っても、これでは意味不明だと思うので順を追って解説していきます。

 

⑴発作性上室性頻拍(PSVT)の特徴とポイント

特徴の細かいことは次の項で分類別に解説します。

 

復習から!そもそも上室性とは、、、

  • 上室性=心房性+房室接合部性
  • 房室接合部=房室結節+ヒス束

ややこしいですね〜

この細かいことがややこしいと思う方は「上室性って範囲の広い意味で使われるんやなー」くらいのイメージでいいと思います。

ただ、覚えないといけないポイントが1つあります。

上室性=心室性ではない不整脈(心室より上の範囲で起きた不整脈)であるということです。ここポイントですのでもう一回言います。

 

上室性=心室性ではない!

 

心室性不整脈は基本wide QRS(幅の広いQRS)ですよね。例えば心室頻拍(VT)はwide QRSですよね。

上室性はnarrow QRS(幅の狭いQRS)です(1つだけ例外があります。最後の方の解説に出てきます)。上室性なのか心室性なのかで対応が変わるためこの違いは見分ける必要があります。

心室性は命に直結することがありますがPSVTはいますぐに命に直結することは多くはありません。もちろん血圧を維持できないのであれば話は別ですが。

 

〈頻拍と洞性頻脈の違い〉

  • 頻拍:突然頻脈になり突然治る
  • 洞性頻脈:徐々に頻脈になり徐々に治る

 

〈頻脈の回数による分類〉

これは復習です。

  1. 頻拍(Tachycardia)100〜250回/分
  2. 粗動(Flutter)250〜350回/分
  3. 細動(Fibrillation)350回以上/分

PSVTのHRの値が参考書等で異なると思いますが、頻拍はHR100〜250ですがPSVTの実際は150回/分以上がほとんどです。

 

⑵発作性上室性頻拍(PSVT)の分類

PSVTは4つに分類されます。

PSVTを参考書やネットで検索するとだいたいは「PSVTは①AVNRTと②AVRTに分類される」と記載されていると思います。その理由はPSVTの約90%は房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)あるいはWPW症候群に伴う房室回帰性頻拍(AVRT)であるためです。

 

4つの分類のうちAVNRTとAVRTが分かればPSVTの9割は理解したと言えます。心房頻拍(AT)はPSVTと分けて考えられることもあります。

 

ここでは4つをPSVTとして考え、解説していきます。

 

①心房頻拍(AT)

心房頻拍(AT)

  • 発生部位が心房なのでP波はみえる
    ➡︎心房だと分からなければ‘上室性’とまとめられる
  • P波の形が正常時と異なる
    ➡︎洞結節以外の心房内で旋回(リエントリー)しているため
  • QRS波は正常のnarrow QRS
    ➡︎洞結節からの刺激ではないが房室結節→ヒス束を通り刺激が心室へ流れのため幅の狭いQRSになる

 

ATが持続しているわけではなく発作として出ているものはPAT=発作性心房頻拍といいます。

PAT with blockとは

✳︎心房の刺激が200回/分以上になると心房の刺激に心室が反応できなくなってくるため2:1伝導以下になる場合もある(P波2つにQRS波1つ)。これをPAT with blockと呼ぶ。PAT with blockジギタリス中毒で起こることもある。

 

上記の波形ほどP波は綺麗に見えないことも多いです。参考程度にして下さい。心房頻拍かどうか分からなければPSVTとまとめていいと思います。

 

②洞結節リエントリー性頻拍(SNRT)

実際はATと鑑別困難なことも多いためATとまとめてもいいと思います。

 

房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)

房室結節付近の旋回する刺激ということは、、、房室接合部性調律(ジャンクショナルリズム)の頻脈と考えるとイメージしやすいと思います 補充収縮、補充調律、ジャンクショナルリズムとは

 

正常な刺激の流れは洞結節からスタートして下に向かう(洞結節が一番上だから下にしかいかない)。

①洞結節→②房室結節→③ヒス束→④左・右脚→⑤プルキンエ繊維 です。刺激伝導系ってなに?刺激伝導系の目的は?心電図との関係は?

 

AVNRTの場合は房室結節からスタートして上(洞結節)にも下(ヒス束)向かう。

②洞結節
⬆︎
①房室結節
⬇︎
②ヒス束

③左・右脚

④プルキンエ繊維 となる。

房室結節から刺激がスタートして上(洞結節)と下(ヒス束)に刺激が向かうため、刺激が遠ざかる波形と近づく波形が同時に現れます。

それがP波が下向きになる場合やQRS波とP波が被ってP波が見えないという波形になるわけです。

さらに、詳しくみるには他の特徴も知る必要があります。

 

④房室リエントリー性頻拍(AVRT)

一番難しい、ややこしいPSVTだと思います。

 

ケント束(副伝導路)とは

通常の刺激伝導系にはない電気の通り道です(余計な通り道)。ケント束は通常の刺激伝導系を通る電気刺激よりも速いスピードで電気刺激が流れます(頻脈を起こしやすい)。

デルタ波とは

心房の興奮が房室結節以外の通り道(ケント束)を通り緩やかにQRS波が立ち上がることです。

 

房室リエントリー性頻拍=AVRTは〝刺激がケント束を通って旋回するのがポイント〟です。

AVRTはさらに2つ(逆行性AVRTと順行性AVRT)に分類されます。

 

逆行性AVRTと順行性AVRTとは
  • 逆行性AVRT:WPW症候群を伴うである。心房→ケント束→心室→ヒス束→房室結節 へ向かう(正常とは逆の順番で心室に刺激が伝わるから逆行性)
  • 順行性AVRT:心室に向かう刺激が房室結節→ヒス束 へ向かう順行性(正常と同じ順番通りに刺激が行くので順行性)

 

〈逆行性AVRT(WPW症候群を伴う)〉

  • デルタ波
    ➡︎心室への刺激はケント束を通るためQRSが緩やかに立ち上がりデルタ波となる
  • wide QRS(PSVTで唯一wide!他のPSVTは全てnarrow!)
    ➡︎ケント束→心室→ヒス束→房室結節の順番で刺激が流れており、心室は正常なサポートがなく単独で動いていいるような状態のため

wide QRSになる理由をイメージするための補足は 刺激伝導系ってなに?刺激伝導系の目的は?心電図との関係は? に記載してます。

 

〈順行性AVRT〉

  • QRS波の後に逆行性P波
    ➡︎刺激が心室を通った直後(心室収縮した直後、すなわちQRSの直後)ケント束を通るため
  • narrow QRS
    ➡︎房室結節→ヒス束の正常な順番で刺激が心室へ流れるため

 

補足(復習)ですが、ここポイントです!

房室結節は電気の流れを遅くする働きがあって心房が収縮した後すぐに心室が収縮することを防いでいます。

もし心房が収縮してすぐに心室が収縮すると、心房から送られた血液を十分心室にためれていない状態で心室が収縮するため心拍出量が減少してしましますよね。

 

一方、ケント束には房室結節のような電気の流れを遅くする働きはありません。そのため、刺激が速く心室にいくためデルタ波を認め、血圧が低下する可能性があるということです。

 

⑶性上室性頻拍(PSVT)の症状

大まかには上記のような症状を認めます。頻脈の程度によって自覚症状がない場合もあります。血圧低下の程度によっても重症度・緊急度が変わってきます。

 

【まとめ】

PSVTとは、、、

  • HRは約150〜250回/分の突然頻脈になり突然治まる頻拍
  • 基本はnarrow QRS、R-R間隔は一定、P波は見えたり見えなかったりする
  • 約9割はAVNRTとAVRT
  • AVNRTは房室接合部性調律(ジャンクショナルリズム)の頻脈版とイメージする
  • AVRTはWPW症候群を伴う

 

 

治療は次回記事にします。

 

以上、bob.channelでした〜

読んでいただきありがとうございます。

 

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