抗不整脈薬、Na•K•Caの働き

抗不整脈薬とは?Na、K、Caの働きから作用を考える

投稿日:2020年1月10日 更新日:

 

こんにちは。bob.channelです。

 

 

前回のブログでは 発作性上室性頻拍(PSVT)について 投稿しました。

 

PSVTの薬物治療について解説する前に、薬物治療を理解するには抗不整脈薬の知識が必要です。さらに抗不整脈薬を理解するにはざっくりとNa、K、Caの働きを知っておく必要があります。

 

みんな嫌いなイオンの話、、、Na、K、Ca、、、、、

僕も正直理解できていないことも多いです。参考書などに載ってるような難しい解説ではなくてNa、K、Caが心臓とどういう関係があるの?ということを心臓の収縮と拡張に分けて考えてみたいと思います。

おそらく少しはイメージできるようになりますし、イオンの話が少しわかると抗不整脈薬の作用を理解しやすくなります。

 

【不整脈別解説、薬物療法】

1.Na、K、Caの働き

Na、K、Caをイメージするために噛み砕いてまとめます。

心臓は収縮と拡張を繰り返していますよね。収縮と拡張を難しい言葉で言うと放電(収縮)、拡張(充電)と呼びます。

Na、K、Caが心臓の収縮と拡張にどういう役割を果たしているのかを考えます。

 

⑴放電(脱分極)、拡張(再分極)とは

まず、心房・心室の

  • 放電(=脱分極)
  • 充電(=再分極)

を考える

 

イメージしながら読んでみてくださいね。

  • 放電
    ➡︎電気が放たれるので心臓は動く(収縮)
  • 充電
    ➡︎電気が貯められるので心臓は休憩(拡張)

すなわち、放電とは心臓の収縮、充電とは心臓の拡張と言い換えることができますね。

さらに、心房と心室それぞれに放電(収縮)と充電(拡張)があります。

 

放電(収縮)と充電(拡張)は心電図上でどう表れるのか

次に、放電(収縮)と充電(拡張)を心電図上で考えます。

  • 放電
    ➡︎心房収縮→P波
    ➡︎心室の収縮→QRS波
  • 充電
    ➡︎心房拡張→QRS波で隠れて見えない
    ➡︎心室拡張→T波

 

放電(収縮)と充電(拡張)はNa、K、Caの働きがどう関係しているのか

ポイントは4つ

  1. 放電(収縮に使うのが👉Na
  2. 充電(拡張)に使うのが👉K
  3. 特に洞結節と房室結節の興奮開始に使うのが👉Ca
  4. 筋肉を収縮(心収縮)させるのも👉Ca

というイメージです。

 

Na、K、Caから頻脈を考える

上記4つのポイントをもとに大雑把に頻脈時をイメージ、、、

  • Naをブロックすると放電できないから収縮回数がへる
    ➡︎頻脈が治る
    (Ⅰ群 Naチャネルブロッカー)
  • Kをブロックすると充電されすぎるから充電の時間が長くなる(不応期が伸びる)
    ➡︎心臓が休むようになるから頻脈が治る
    ➡︎T波が伸びP-QRSが出るのが遅くなる
    (Ⅲ群 Kチャネルブロッカー)
  • Caを抑制すると興奮が開始できないのと心収縮が弱くなる
    ➡︎頻脈が治る
    ➡︎心収縮が弱まる(心不全)
    (Ⅳ Ca拮抗薬)

NaとCaはセットになって活動しています。

Ca(洞結節の興奮)→Na(心房の興奮)→Ca(房室結節の興奮)→Na(プルキンエ繊維の興奮)→Na(心室の興奮)

という感じです。極端に言えばどっちかをブロックするともう片方も弱くなるイメージです。

 

上記の不整脈薬の分類はあくまでもイメージするために古い分類(Vaughan Williams 分類)を出してます。現在はもっと細かい新しい分類(Sicilian Gambit 分類)が使われています。

 

2.抗不整脈薬

抗不整脈薬といっても数多すぎてよく分からないという方多くないですか?そういう時は分類別に考えるとわかりやすいですよ。

 

まず、1970年代からあるらしい、古典的な分類で考えると頭の中を整理できます。

⑴Vaughan Williams 分類

「Vaughan Williams 分類」の画像検索結果

引用:http://www.jkmc-cardiology.jp/02_outpatient/sub01/02_03_10.html

Ⅰ群からⅣ群まであり、Ⅰ群はさらにa〜cの3つに分類されます。一つづつ解説していきます。

 

Ⅰ群 Naチャネルブロッカー

さっきのNaの働きを思い出してください。

Naをブロックすると放電できないから収縮回数がへり、頻脈が改善という流れでしたね。

  • Ⅰa群:特に心房に対する効果が強い
    ➡︎上室性の頻拍やAFなどに用いられる(リスモダン、アミサリンなど)
  • Ⅰb群:特に心室に対する効果が強い
    ➡︎心室性不整脈に用いられる(リドカインなど)
  • Ⅰc群:心房心室両方に作用
    ➡︎心房性、心室性の両方に用いられる(サンリズム)

 

★覚え方(自己流です)

  • Ⅰaの aは心房(atrial)の aだから心房に作用
  • Ⅰbの bは心室(ventricle)の bだから心室に作用

代表的な副作用👉心筋収縮力の低下(血圧低下)

NaとCaはセットになって活動しているのでCaの働きが弱くなりおこるということです。

 

Ⅱ群 βブロッカー

よく用いられる薬剤はオノアクトですかね?あとはビソプロロールなど。

 

β1受容体は交感神経なのでβをブロックするということは交感神経の働きを弱めることができます(交感神経が刺激されていると頻脈)。

  • 交感神経を抑制し頻脈改善
    ➡︎洞結節と房室結節に有効、効果が強い
  • 心収縮を弱める

 

もう少し詳しく、、、

カテコラミン(特にノルアドレナリン)による心筋細胞のβ1受容体が刺激を受けるとCaの働くスピードが速くなる上にCaが増加します。その結果、洞結節や自動能が亢進して頻脈になります。

このβをブロックするとCaの働きも弱まる、制限できるわけです。Caは刺激の興奮開始(特に洞結節と房室結節)と心収縮を強める働きでしたよね。

 

結局、βをブロックすると、刺激がへる(頻脈が治まる)、心収縮が弱まる(血圧低下)ということです。

 

〈代表的な副作用〉

  • 徐脈性不整脈
  • 血圧低下

 

Ⅲ群 Kチャネルブロッカー

よく用いられる薬剤はアミオダロンです。

Kをブロックすると充電されすぎるから充電の時間が長くなり(不応期が伸びる)心臓が休むようになるから頻脈が治るという流れでしたね。

  • 不応期が伸びるため頻脈改善
  • 血圧低下が起きにくい
  • VT・VFに有効

Kチャネルブロッカーは心筋収縮力の抑制作用がないため血圧低下が比較的少ない薬剤です。さらに、心室性不整脈の特にVT、VFに有効です(アミオダロン)。

Kチャネルブロッカーに共通する重大副作用としてQT延長があります。QT延長に伴う多形性心室頻拍(TdP、トルサード・ド・ポアンツ)があります。

 

〈副作用〉

  • QT延長→多形性心室頻拍
  • 間質性肺炎(肺毒性)、甲状腺機能亢進・低下、肝障害

 

アミオダロンには間質性肺炎などの肺に対する毒性や甲状腺機能亢進・低下、重大な肝障害などの副作用がある。また、アミオダロンの静注は最長で7日でその後は内服薬に切り替えることが一般的だが、半減期が19〜53日と長く、管理が比較的難しい薬剤といえます。

血中濃度のモニタリングについての議論もあるが、今のところ有効なデータはないみたいです。

 

Ⅳ群 Ca拮抗薬

よく用いられる薬剤はベラパミル(ワソラン)、ジルチアゼム(ヘルベッサー)です。降圧薬として用いる内服薬はもっと色々ありますね。

洞結節と房室結節の興奮開始と心収縮に使うCaをブロックするため頻脈が改善するという流れです。

 

Ca(洞結節の興奮)→Na(心房の興奮)→Ca(房室結節の興奮)→Na(プルキンエ繊維の興奮)→Na(心室の興奮)

これを思い出してください。

興奮の開始はCaから始まります。ということは、Caを抑制すると頻脈は改善します。

 

〈副作用〉

  • 血圧低下
  • 洞停止、房室ブロック
    ➡︎洞結節と房室結節に特に作用するからこのような徐脈性不整脈が起きやすい

 

さらに、WPW症候群にCa拮抗薬を使用し房室伝導を抑制するとケント束を通りやすくなる(房室伝導を抑制されるから余計な通り道であるケント束を通る)ため、VT、VFを誘発するリスクがある。

 

⑵Sicilian Gambit 分類

「Sicilian Gambit 分類」の画像検索結果

引用:http://jcs2011-izumi-h.medicalvista.info/treatment04_07.html

新しい分類ですが、単純に抗不整脈薬って何?だけを考えるなら難しいだけなのでここの解説は省きます。ガイドラインには詳しく書かれてます! http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_kodama_h.pdf

 

⑶ジギタリス(ジゴキシン)、ATP(アデノシン、アデホス)、マグネシウム(硫酸マグネシウム)

Ⅰ〜Ⅳ群に入っていないですが、よく用いられる薬剤です。特にATPはPSVTの薬物治療で必要な知識です。

ジギタリス

  • 心収縮増強
  • 副交感神経刺激し頻脈を改善させる
  • ジギタリス中毒
    ➡︎徐脈、房室ブロック、多源性PVCや消化器系の症状(食欲不振、悪心、嘔吐など)

 

ATP製剤(アデノシン、アデホス)

  • Kチャネル、Caチャネルへ作用
  • 洞結節、房室結節に特に作用し、房室伝導を抑制する

詳しくはPSVTの薬物治療の記事で説明します。

 

マグネシウム(硫酸マグネシウム)

作用機序はよく分かっていないので「おまじない」みたいなもん、と言っていた医師がいましたw

  • 多形性心室頻拍(TdP、トルサード・ド・ポアンツ)に有効

 

4.まとめ

  • 放電(収縮)に使うのがNa
    →Naをブロックするから収縮回数が減る➡︎頻脈改善(Ⅰ群 Naチャネルブロッカー)
  • 充電(拡張)に使うのがK
    →Kをブロックするから拡張時間(不応期)が伸びる➡︎頻脈改善(Ⅲ群 Kチャネルブロッカー)
  • 特に洞結節と房室結節の興奮開始に使うのがCa
    →Caをブロックするから刺激回数が減る➡︎頻脈改善(Ⅳ Ca拮抗薬)
  • 筋肉を収縮(心収縮)させるのもCa
    Caをブロックするから心収縮が弱まる
    ➡︎血圧低下
  • ジギタリスは心収縮増強と副交感神経刺激
    ➡︎血圧維持して頻脈改善
  • ジギタリス中毒は徐脈、多源性PVCや消化器系の症状
  • βブロッカーは交感神経を抑制
    ➡︎頻脈改善(Ⅱ群 βブロッカー)
  • ATP製剤(アデノシン、アデホス)は房室伝導を抑制
    ➡︎頻脈改善
  • マグネシウム(硫酸マグネシウム)は多形性心室頻拍に有効

 

 

以上、bob.channelでした〜

次回いよいよPSVTの薬物療法の解説をします。

読んでいただきありがとうございます。

 

 

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