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心房細動(AF)で抗凝固療法をしてる患者としていない患者の違いは?

投稿日:2019年12月13日 更新日:

 

こんにちは。bob.channelです。

 

 

心房細動で患者で抗凝固療法をしてる患者と

していない患者の違いを説明できますか?

 

本記事では抗凝固療法の適応は何をもとに考えているのか

さらに抗凝固による出血リスクは

どう考えたらいいのかを解説しています。

 

心房細動の波形や特徴、分類、問題点などは

心房細動(AF)の波形について をご覧ください!

 

 

では、さっそく始めていきます。

【不整脈別解説】

1.心房細動に対する抗凝固療法の考え方

Q.AFで抗凝固療法をしてる患者していない患者の違いは?

A.弁膜症性心房細動は抗凝固療法適応、

非弁膜症性心房細動(NVAF)は

脳梗塞のリスク評価を用いて

リスクが高い場合は抗凝固する

リスクが低い場合はしない

これが答え、結論です。

 

✴︎弁膜症性心房細動の定義は、

リウマチ性の僧帽弁狭窄症あるいは

人工弁置換術を行った心房細動です。

それ以外はすべて非弁膜症性です。

 

ほとんどの患者の心房細動は

非弁膜症性心房細動といえますね。

 

リスク評価について詳しく説明していきます。

 

非弁膜症性心房細動における脳梗塞のリスク評価

まず、弁膜症性心房細動非弁膜症性心房細動

分けて考えます。

  • 弁膜症性心房細動は抗凝固の適応となる
  • 非弁膜症性心房細動はスコアを用いてリスク評価する

 

👉非弁膜症性心房細動における

脳梗塞の発症リスクはCHADS2スコア で評価します。

 

・CHADS2スコア

C:CHF(うっ血性心不全) 1点
H:hypertension(高血圧) 1点
A:age(年齢75歳以上) 1点
D:DM(糖尿病) 1点
S2:Stroke/TIA(脳梗塞、TIAの既往) 2点

✳︎2点以上で抗凝固療法の適応となります。

 

ちなみにCHADS2スコア別の

年間脳梗塞発症率はこちらの図をご覧ください。

「chads2スコア 脳梗塞発症率 画像」の画像検索結果

引用:http://www.stop-afstroke.jp/project/our_country.html

 

さらに、CHADS2スコア1点以下でも

脳梗塞のリスクがある場合もあるため

CHADS2スコアをさらに細かくしたものがあります。

CHA2DS2-VAScスコアといいます。

 

・CHA2DS2-VAScスコア

C:CHF(うっ血性心不全) 1点
H:hypertension(高血圧) 1点
A:age(年齢75歳以上) 2点
D:DM(糖尿病) 1点
S2:Stroke/TIA(脳梗塞、TIAの既往) 2点
V:血管疾患の既往 1点
(心筋梗塞の既往、末梢動脈疾患など)
A:age(65歳以上74歳以下) 1点
Sc:性別(女性) 1点

赤字がCHADS2スコアと違う点です。

✳︎2点以上で抗凝固療法の適応

 

ちなみにCHA2DS2-VASc別の

年間脳梗塞発症率はこちらの図をご覧ください。

「chads2-VAScスコア脳梗塞発症率 画像」の画像検索結果

引用:https://calculator.qlifepro.com/chadsvas.html

 

2つの図からやっぱり点数が上がると

脳梗塞の発症率も上がってるのが一目瞭然ですね。

ただ、疑問に思いませんか?

 

「脳梗塞発症率2%程度で抗凝固適応か〜。

逆に出血リスクは怖くないの?」

ということです。

 

患者も血が止まりにくくなることに固執して

血が止まらないの怖いから薬飲みたくない!

っていう人に出会ったことありませんか?

 

もちろん、出血リスクの評価ツールもあります。

 

👉抗凝固療法を行うことは出血のリスクも伴うため

出血のリスク評価が必要となり

HAS-BLEDスコアで評価します。

 

②抗凝固療法中の出血リスクの評価ツール

・HAS-BLEDスコア

H:高血圧 sBP>160mmHg 1点
A:腎機能障害、肝機能障害 各1点 計2点
S:脳卒中 1点
B:出血歴、出血傾向、貧血 1点
L:INR不安定 1点
E:高齢 >65歳 1点
D:薬剤、アルコール(抗血小板薬やNSAIDs併用、アルコール依存症)各1点 計2点

0点 低リスク
1〜2点 中等度リスク
3点以上 高リスク

 

HAS-BLEDスコアと重大な出血発症頻度(発現率)は

こちらの図をご覧ください。

HAS-BLEDスコアの点数の年間発現率グラフ

引用:https://calculator.qlifepro.com/has_bled.html

ちなみに重大な出血とは頭蓋内出血や

消化管出血など臨床的に問題となる出血のことです。

 

例えば、歯磨き中に歯茎から出血して

血が止まりにくかったなど

臨床的に問題とならない出血は含まれていません。

(小さな出血は膨大にあるはずです)

 

また、HAS-BLEDスコアが3点以上の高リスクの場合は

厳格に経過観察を行うことと、

定期的に治療方法、薬剤見直しが必要と言われています。

 

 

先ほどの出血が怖いから内服したくない!

 

という患者に出会ったとしたら

こういうツールを用いてデータを示すのも効果的?

かもしれないですね。

 

あとは、抗凝固することで脳梗塞の発症は約1/3減らせます。

ということは内服しないことで

脳梗塞の発症率が上がることは明らかです。

 

しかも、心房細動により心臓で血栓ができるということは

大きい血栓ができやすく(心臓は血液をためる空間が大きいため)

大きい血管を閉塞することが重大な問題になります。

 

その証拠として、

心原性脳梗塞は脳梗塞の中でも梗塞巣が大きく

脳浮腫をきたしやすく出血性梗塞に変容しやすい

さらに、生命予後を含めて転帰不良例が多い。

ということが明らかになっています。

 

これと比較し小さな出血は

生命に影響を与えることは考えにくいですし

出血リスクも評価した上で薬剤調整しているので

重大な出血を起こすリスクは低いといえます。

 

さらに、今までの研究で抗凝固薬は

転倒による出血リスクに影響しない

または、出血リスクより脳梗塞の予防効果の方が

大きいとわかっています。

 

これらの理由からも

抗凝固療法適応の患者は適切に内服することが必要と考えます。

 

ただし、、、

最近の研究で抗凝固療法の利益が

加齢とともに低下することもわかってきています。

今後さらに平均寿命が伸びていくと

抗凝固の適応も変化していくかもしれませんね。

 

心房細動治療(薬物)ガイドラインは

2013年改訂版なのでそろそろ改訂なのかな〜、、、

 

非薬物療法は2018年に改訂されてるので

興味のある方は調べてみてください。

 

ワルファリン療法を行う場合は,PT-INR2.0~3.0でのコントロールが推奨される.70歳以上ではPT-INR1.6~2.6 でのコントロールが勧められる.欧米で行われた6つのランダム化比較試験のメタ解析によると,非弁膜症性心房細動におけるワルファリン療法は脳梗塞の発症を68%減少させた186).各ランダム化比較 試験におけるPT-INRの目標値は異なるが,脳梗塞や重篤な出血性合併症発症時のPT-INRを解析すると,脳梗塞はPT-INR2.0未満で多く,重篤な出血はPT-INR3.0 超で多く発症していた.またPT-INRが2.0以下に低下してくると,脳塞栓症発症予防効果が相対的に下がる187).これらの結果を受けて,ワルファリンの至適治療域が2.0~3.0 と設定された. 高齢者(70 歳以上でPT-INR が低く(1.6~2.6)設 定された 2)のは,わが国の前向き研究で高齢者の低用量ワ ルファリン療法による安全性や有効性が報告されたためであ188,189).非弁膜症性心房細動による脳塞栓症の再発予防を目的にワルファリン内服中の患者203例を対象にした観察研究によると,PT-INR が 2.6 を超えると重篤な出血頻度が急激に上昇し,PT-INR が 1.6 を切ると重篤な 脳梗塞や全身性塞栓症が観察されその多くが 70 歳以上 の高齢者であった

引用:http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_inoue_h.pdf

 

ワルファリンはPT-INR2.0〜3.0が

世界標準で70歳以上では1.6〜2.6が推奨されている。

 

・新規経口抗凝固薬(NOAC)→直接経口抗凝固薬(DOAC)

以前は経口抗凝固薬といえば

ワルファリンのみでしたが

2011年以降に新規経口抗凝固薬(NOAC)が発売され、

現在はプラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナの

4剤の直接経口抗凝固薬(DOAC)と呼ばれます。

 

・直接経口抗凝固薬(DOAC)とワルファリンとの違いは?

 

〈ワルファリンの特徴〉
  • 脳梗塞予防効果は高い
  • 用量の個人差
  • 食事や他の薬剤の影響(ビタミンK)
  • 診察毎の採血による効果チェック(PT-INR)
  • 拮抗薬がある(ケイセントラ、ケイツー)

 

〈直接経口抗凝固薬(DOAC)の特徴〉
  • 食事の影響がない
  • 用量の個人差が少ない
  • 服薬して速やかに効果が得られる
  • 脳梗塞予防効果はワルファリンと同等かそれ以上
  • 頭蓋内出血は極めて少ない
  • 指標がないため採血不要
  • 指標がない(モニタリングできない)ため投与量の調整が重要
  • 基本は拮抗薬がない

こんな感じです。

腎排泄が4剤によって異なるとか、

透析患者への有用性とか、

細かいことはもっとあるみたいですが

この辺でこの話は終わります。

 

【まとめ】

  • AFで抗凝固療法をしてる患者していない患者の違いは
    弁膜症性心房細動は抗凝固療法適応
    非弁膜症性心房細動は脳梗塞のリスク評価を用いて
    リスクが高い場合は抗凝固する、リスクが低い場合はしない
  • 非弁膜症性心房細動は脳梗塞のリスク評価は
    CHADS2スコアCHA2DS2-VAScスコアを用いる
  • 抗凝固療法中の出血のリスク評価はHAS-BLEDスコアを用いる
  • 抗凝固療法による脳梗塞予防効果 vs 抗凝固療法による生命を脅かす重大な出血
    を考えると脳梗塞予防効果の恩恵の方が大きい
  • ワルファリンだけでなく直接経口抗凝固薬(DOAC)がある

 

 

 

以上で心房細動については終わります。

bob.channelでした〜

読んでいただきありがとうございました。

 

-AF/AFL

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