こんにちは。お久しぶりです。bob.channelです。
今日は心タンポナーデについて書きます。
心タンポナーデ
心タンポナーデとういうワードは聞いたことある!知ってる!
でも心タンポナーデとは
どんな状態かを言語化できる看護師は以外に少なくないですか?
心タンポナーデとは
出血などで心膜腔(心嚢)に体液が貯留し、
拡張不全をきたした状態です。
そもそも心膜腔ってどこ?心嚢液の役割は?
ここから解説していきます。
心臓壁の三層構造
心臓の内側から心内膜→心筋層→心外膜です。
さらに心外膜の外側が心膜腔(心嚢)で
心膜腔に心嚢液が貯留してます。
心タンポナーデを簡単にイメージしましょう。
心臓の心膜腔(心臓の外側の方)に
体液が貯留(分厚くなって)し
拡張しづらくなっている!
拡張できないということは
血液をためれないから拍出も減る!
その結果死に至るという感じです。
心嚢液の役割
心嚢液は通常50cc以下で約10〜20cc貯留してます。
約100cc程度で症状が出始めて
拡張不全が増悪すればするほど死に至る可能性も上がります。
心嚢液の役割は3つ!
- 心臓の拡張、収縮をスムーズに行う潤滑油としての役割
- 外部からの衝撃に耐えるクッションとしての役割
- ウイルスや細菌が心筋に直接入ることを防ぐ役割
心タンポナーデの原因
原因は多数あるので代表的なものだけ載せてます。
- 急性心外膜炎
- 大動脈解離
- 心筋梗塞(心破裂やドレスラー症候群)
- 悪性腫瘍の心膜転移
- 胸部外傷
- PCIやABLによる穿孔など
心タンポナーデの症状とメカニズム
ベックの三徴(Beckの三徴)
- 頸静脈怒張(中心静脈圧上昇)
- 血圧低下
- 心音減弱
さらに、
-
奇脈:吸気時収縮期血圧低下(吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下する現象)
-
クスマウル徴候(Kussmaul sign):吸気時頸静脈怒張
- 呼吸困難
- 意識レベル低下など
症状についてのメカニズムをここで整理しましょう。
- 心嚢液増加→拡張不全→心拍出量低下→血圧低下→組織への酸素供給不足→代償で頻脈、頻呼吸、呼吸困難
- 心嚢液増加→拡張不全→うっ血→静脈圧上昇(中心静脈圧上昇)→頸静脈怒張
- 吸気時胸腔の陰圧増大→血液が右房右室へ増加→吸気時に特に右房右室へうっ血→吸気時頸静脈怒張(クスマウル徴候)
- 吸気時に特に右房右室へうっ血→心室中隔が左室側へ圧排→吸気時収縮期血圧低下(奇脈)
心タンポナーデは心外閉塞・閉塞性ショックに
陥る場合もあります。
もちろん心不全にも陥る場合もあります。
慢性的に心嚢液貯留している方もいるため
自覚症状が出にくい場合もあります。
心タンポナーデの検査・診断
- ベックの三徴(Beckの三徴)
- 心エコー:心嚢液貯留(エコーフリースペース=echo free space)と右室の拡張期虚脱
- レントゲン:心陰影拡大
- 心電図:低電位(全誘導での低電位)と電気的交互脈(QRSの振幅が1~数心拍ごとに増加したり減少したりすること)
✳︎心嚢液貯留の確認は心エコーが優れている
心タンポナーデの治療
心嚢穿刺(心嚢ドレナージ)、心嚢切開
→不要な心嚢液を除去し拡張障害改善を目指す
排液が追いつかない(ドレナージで改善しない)場合や
出血が止まらない場合は緊急で開胸術を行うこともあります。
輸液に反応しない血圧低下の持続もポイントな気がします。
まとめ
心タンポナーデは、、、
- 拡張障害である
- 心嚢液は通常50cc以下で、約100cc以上になると症状がでる
- 主な症状はベックの三徴(Beckの三徴):頸静脈怒張(中心静脈圧上昇)、血圧低下、心音減弱
- 心嚢液貯留には心エコーが優れている
- 治療は心嚢ドレナージ
以上、bob.channelでした〜
読んでいただきありがとうございます。