こんにちは。bob.channelです。
今日は心房性期外収縮について解説していきます。
心房性期外収縮はPACやAPCとも呼ばれます。
PACの種類も含め説明していきます!
おそらく、心房性期外収縮変更伝導を
心室性期外収縮(PVC、VPC)と
読み間違えている方も多いと思います。
目次をタップすると読みたい分野だけ読めます。
ではさっそく説明していきましょー。
【不整脈別解説】
1.心房性期外収縮(PAC、APC)
心房性期外収縮、上室性期外収縮、
心室性期外収縮など様々な「期外収縮」があります。
ということで、「期外収縮」ってなに?
ということから考えましょう。
結論から言います。
「期外収縮」=「早期収縮」と覚える!
はっきり言ってこれを覚えたら
「期外収縮」については
理解したに等しいと僕は思ってます。
〇〇性期外収縮とは〇〇(部位)で
期外収縮(早期収縮)が発生している状態
と言い換えることができます。
もう少し噛み砕いていうと、
期外収縮(早期収縮)とは
本来のタイミングより早く
〇〇(部位)が動くという意味です。
例えば、心房性期外収縮は
心房が本来のタイミングより
早く動くということです
(すなわちP波が早く出る→異所性P波)。
具体的に心電図波形から考えると、
- 正常な洞結節からの刺激(興奮)より早い刺激
⇨P波の形が変わる or 下向きのP波(逆行性P波)
or P波が見えない(QRS波と被っている、
基本12誘導心電図を見るとP波が見つかる) - 刺激は心房→房室結節→ヒス束の順に伝わる
⇨QRS波は正常となる
刺激伝導系はこちらを参照
👉刺激伝導系ってなに?刺激伝導系の目的は?心電図との関係は?
①PACの要因
- 生理的要因
⇨緊張、興奮、疲労、ストレス、睡眠不足、
喫煙、カフェイン・アルコールの過剰摂取など
➡︎結論、交感神経の興奮で起きやすいということ - 病的要因
⇨狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患、
心不全、甲状腺機能亢進症など - 刺激が早く出すぎれば出すぎるほど
心房に血液が溜まっていない状態で
心室へ血液を送るので血圧が低下する可能性がある
PACが頻繁すると心房細動に
移行することはあるが
ほとんどの場合様子観察になります。
②PACの種類
5種類紹介します。
⑴心房性期外収縮(PAC)
⑵房室接合部性期外収縮(PJC)
⑶上室性期外収縮(SVPC)
⑷上室(心房)性期外収縮変更伝導
⑸非伝導性心房(上室)性期外収縮(blocked PAC)
の5つです。
これらはどの部位で期外収縮が発生したのかの違いです。
見分け方はP波の形、向き、位置で
どこから出た刺激なのかを判断します。
まずは言葉の整理からします。
P波がよくわからないときは
上室性とまとめます。
- 上室性=心房+房室接合部
- 房室接合部=房室結節+ヒス束
さらに、
このように定義されます。
房室接合部性調律(ジャンクショナルリズム)はこちらを参考に!
補充収縮、補充調律、ジャンクショナルリズムとは
さらに、
P波の向き(上向きか下向きか)はどう判断するのかを示します。
どの部位を示す言葉なのか
P波の向きからどの部位から出た刺激なのかを判断していきます。
ここまで理解した上で、具体的にみていきましょう。
⑴心房性期外収縮の波形について
洞結節周囲から刺激が発生した場合(異所性P波)
→P波は上向きとなる。
⑵房室接合部性期外収縮について
・房室結節付近の上位から期外収縮が発生した場合
→P波は下向きとなる。
・房室結節付近の中位から期外収縮が発生した場合
→P波はQRS波に隠れてみえない
⑶上室性期外収縮について
P波がよく分からない場合は
上室性期外収縮とまとめる。
業務中にⅡ誘導心電図上
細かい判断ができない場合は
上室性とまとめていいと考えます。
⑷上室(心房)性期外収縮変更伝導について
早期にP波がでて左or右脚ブロックも伴った場合
QRS波の幅が広くなります(wide QRS)。
⑸非伝導性心房(上室)性期外収縮について
早期にP波がでてQRS波がない
(T波にP波が乗っかってT波の形が
元々と違うまたは、T波のすぐ後ろにP波が出ている)
これは相対的不応期にP波がでたために
QRS波が続かない状態です。
不応期についてはこちらの記事に記載しています
心室性期外収縮(PVC、VPC)を読解できるようになる。注意すべきPVCは?
この波形を見るとRR間隔が延長しパッと見は
P−QRSが向け落ちているようにみえますし、
見る人によっては洞停止と間違えることがあります。
そういう時は落ち着いてT波に注目し
T波の形が変化していてT波にP波が乗っていると
判断できればblocked PACと判断できます。
以上、5つの紹介でした!
最後まとめて終わりにしたいと思います。
【まとめ】
•P波“上向き”
⇨“心房性”期外収縮
•P波“下向き”(逆行性P波)
⇨“房室接合部性”期外収縮→房室結節上位の刺激
•P波“ない”(QRS波と被っている)
⇨“房室接合部性”期外収縮→房室結節中位の刺激
•早期にP波がでて“QRS波の幅が広い”(wide QRS)
⇨上室性期外収縮“変更伝導”
•早期に“P波がでてQRS波がない”
(T波にP波が乗っかってT波の形が
元々と違うまたは、T波のすぐ後ろにP波が出ている)
⇨“非伝導性”上室性期外収縮=blocked PAC
以上、bob.channelでした〜