ペースメーカー

ペースメーカーのモードについて

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こんにちは。bob.channelです。

 

今日はモードについて解説していきます。よく見るモードに限定して解説しますので、学習したいモードの目次をタップしてそこだけ見てもらえるといいと思います!

 

合わせてこちらの記事も参考に!
ペースメーカーの役割と適応
ペースメーカーのモードを一文字ずつの意味

 

【不整脈別解説、ペースメーカー】

1.ペースメーカーのモード

ここではAAI、VVI、DDD、MVP{AAI(R)⇆DDD(R)}モードを中心に説明します。AOO、VOO、DOOにも触れます。

 

では順番に解説していきます。

 

①AAI

1文字目から一つ一つ考えていけばモードに意味はわかります。

AAI=心房ペーシング

ペーシング部位が心房なので人工的な刺激は心房にしか出せないということです。心房を人工的に動かすということは心室は正常であるということが前提のモードです。心房が異常で心室は正常な徐脈性不整脈に用いられるモードです。

心房だけ人工的に動かしてもしも心室が動かない場合でも心室をペーシングすることはありません。

  1. ペーシング部位(1文字目)がA(心房)
    →人工的な刺激で動かしたい部位が心房という意味
    ・心房さえ動けば心房の刺激に従って心室が規則的に動く場合(房室ブロックがない)に用いる
    ・SSSⅠ型(徐脈)に用いられるが、SSSは房室ブロックを合併することも多いため使用頻度は少ないモード
  2. センシング部位(2文字目)もA(心房)
    →ペースメーカーで人工的に動かさなくていい場合に感知する部位(自己脈を感知する部位)が心房という意味
  3. 反応様式(3文字目)はI(抑制)
    →センシング部位(2文字目)のA(心房)で自己脈を感知(センス)した場合にI(抑制)するという意味
    ・心房の自己脈を感知した場合はペースメーカーは作動しない

 

〈AAIのリードの位置〉

  • AAIではペーシング、センシング共にA(心房)であるためリード(導線)は右心房に留置する→リードレスペースメーカーは今のところ心房ペーシングはできない
  • ペースメーカーによる人工的な刺激はペースメーカースパイク(略してスパイク)と呼ばれる
    ➡︎鋭く尖った波形
  • AAIの場合はペーシング部位はA(心房)のためP波の前にスパイクがでる
    ➡︎スパイク→P波→QRS波→T波

 

〈AAIの適応を具体的に〉

  • AF、AFLなどを認めない
    →心房筋の不応期によりペーシングしても反応しないため心室ペーシングが必要
  • 房室ブロックを認めない
    →心房が動いても房室ブロックがあると心室が動くとは限らないため心室ペーシングが必要

上記の2点を満たす場合のみ有効となる

 

設定の例)
AAIモードでHRは60回設定の場合

HRは60回以下にはならない、HR59回以下になるとスパイクが入りHR60回になる

逆に自己脈でHR61回以上ならペースメーカーは自己脈を感知(センス)してスパイクはでない(その間、ペースメーカーは休憩してるイメージ)

 

②VVI

VVI=心室ペーシング

ペーシング部位が心室なので人工的な刺激は心室にしか出せないということです。

心房の動きに関係なく心室を人工的に動かすモードです(心房の動きは無視して心室だけをみて心室を動かします)。

  1. ペーシング部位(1文字目)がV(心室)
    →人工的な刺激で動かしたい部位が心室という意味
  2. センシング部位(2文字目)もV(心室)
    →ペースメーカーで人工的に動かさなくていい場合に感知する部位(自己脈を感知する部位)が心室という意味
  3. 反応様式(3文字目)はI(抑制)
    →センシング部位(2文字目)のV(心室)で自己脈を感知(センス)した場合にI(抑制)するという意味
    ・心室の自己脈を感知した場合はペースメーカーは作動しない

 

〈VVIのリードの位置〉

  • VVIではペーシング、センシング共にV(心室)であるためリード(導線)は右心室に留置する
    リードレスペースメーカーはカテーテルを用いて右心室に留置し、基本的にはVVIが対象となる
  • VVIの場合はペーシング部位はV(心室)のためQRS波の前にスパイクがでる
    ➡︎P波(P波はないこともある)→スパイク→QRS波→T波

 

〈VVIの適応を具体的に〉

  • 心房ペーシングが有効ではない場合
    →AF、AFLがあっても使える
  • 房室ブロックがある場合
    →房室ブロックにより心室の刺激が心室に伝わるのが遅い、または伝わらない場合に使える
  • 徐脈性心房細動の場合

 

以上を満たす場合に有効となる

すなわち、AAIが有効でない、または不十分な場合に有効となる

 

設定の例)
VVIモードでHRは60回設定の場合

HRは60回以下にはならない、HR59回以下になるとQRS波の前にスパイクが入りHR60回になる

逆に自己脈でHR61回以上ならペースメーカーは自己脈を感知(センス)してスパイクはでない(その間、ペースメーカーは休憩してるイメージ)

P波の有無に関係なくQRS波が設定のHR回数(オールVペーシング)または、それ以上(自己脈とVペーシング)になる

 

〈心室ペーシングが左脚ブロック型のQRS波になる理由〉

VVIの場合のリードは右心室に留置されるため刺激に多少のズレができる(右心室ペーシングということ)
右心室(右脚)→左心室(左脚)の順に刺激が伝わる➡︎左脚ブロック型のQRS波になる

 

③DDD

DDDは一番よく見るモードではないでしょうか?

DDD=心房心室ペーシングということです。心房を動かした後に心室を動かすのでAAI、VVIと比較し一番生理的なモードと言えます。

 

  1. ペーシング部位(1文字目)がD(心房と心室)
    →人工的な刺激で動かしたい部位が心房と心室の両方という意味
  2. センシング部位(2文字目)もD(心房と心室)
    →ペースメーカーで人工的に動かさなくていい場合に感知する部位(自己脈を感知する部位)が心房と心室の両方という意味
  3. 反応様式(3文字目)もD(同期と抑制)
    →センシング部位(2文字目)のD(同期と抑制)で自己脈を感知(センス)した場合にD(同期と抑制の両方)するという意味
    ・P波を感知したら心房ペーシングは作動しない、QRS波を感知したら心室ペーシングは作動しない

 

〈DDDのリードの位置〉

  • DDDではペーシング、センシング共にD(心房と心室の両方)であるためリード(導線)は右心房と右心室に留置(リードが2本)する
  • DDDは自己脈が出ない場合(P→QRS全部出ない)
    ➡︎スパイク→P波→スパイク→QRS波となり心房収縮の後に心室収縮するため生理的ペースメーカーとも呼ばれる
  • DDDの場合はペーシング部位はD(心房と心室の両方)のためP波の前にスパイクが出る場合とQRS波の前にスパイクがでる場合と両方に出る場合とスパイクが出ない場合がある

 

  1. P波もQRS波も自己脈の場合
    自己のP波→自己のQRS波➡︎Aセンス、Vセンス
  2. 自己P波が出てQRS波は出ない場合
    P波→スパイク→QRS波➡︎Aセンス、Vペース
  3. 自己P波が出ず、自己QRS波は出た場合
    スパイク→P波→QRS波➡︎Aペース、Vセンス
  4. 自己P波もQRS波も出ない場合
    スパイク→P波→スパイク→QRS波➡︎Aペース、Vペース

 

〈AVディレイ(AVD)とは?〉

心房収縮に遅れて心室収縮させる(心室に血液をためる時間を確保する)ためにAVディレイ(AVD)を設定する。すなわちAVディレイとは房室結節の役割であり心房収縮の後に心室が血液をためるための時間稼ぎをするという役割があルためAVDはPQ時間(房室伝導)に相当する。

また、AVディレイ(PQ間隔に相当)は0.2秒以内に設定する(ちなみに0.21秒以上はⅠ度房室ブロック)。

 

〈DDDの適応を具体的に〉

  • SSSで房室ブロックを伴う場合
    →洞不全なのでP波が少ないまたはP波が出ない状態なので心房ペーシング必要、SSSは房室ブロックも伴うことが多いのでQRS波が出ないこともあるため心室ペーシングも必要
  • 完全房室ブロックの場合
    →心房と心室の伝導がブロックされているため、心房ペーシングと心室ペーシングで正しいタイミングで心房と心室を動かせば解決する

設定の例)
DDDモードでHRは60〜130回/分設定の場合、HRは60回以下にはならない。また、130回以上にもならない。

〈DDDではなぜ上限設定があるのか?ペースメーカー起因性頻拍(PMT)について〉

DDDは生理的な電気の流れであり心房の興奮に同期して心室を動かす

AFやAFLなど心房の刺激が多くなると心房が動いているのに心室が動いていないと感知し“心房の刺激全てに同期”しVTなどを誘発するためHRの上限を設定する必要がある

✳︎リードは右心房と右心室に留置される

右心室ペーシングなので左右の刺激に多少のズレができる→右心室(右脚)→左心室(左脚)の順に刺激が伝わる

➡︎左脚ブロック型のQRS波になる

 

ペースメーカー植え込み直後のDDDの設定例を考えましょう。普段ペースメーカー植え込み患者をみている病棟の看護師にとっては重要なポイントです。

ペースメーカー植え込み直後は 例)DDDのHR80〜130回設定でAVディレイ短めに設定していることがある

これは普段のHRが70回台の場合はHR60回設定にするとペーシング不全等がチェックできなくなる(全て自己脈になるから)ためにあえてHR設定を高めにし オールペーシング(AもVもスパイクが入るように)波形にしてペーシング不全がないかをみている

AVディレイも普段の脈より長めにすると自己のQRSがでてスパイクが入らなくなるためAVディレイを短めに設定する

その後ペースメーカーチェックでペーシング不全等がないことを確認した上で適切な設定に調整し直す

このような流れで設定していることが多いと思います。

 

④MVP➡︎AAI(R)⇄DDD(R) MVP=SafeR

MVP➡︎AAI(R)⇄DDD(R)というモードをご存知ですか?僕はほぼこのモードをみたことないです。というのも、最近主流になってきているモードだからです。

AAI⇆DDDというモードはAAIにもなるしDDDにもなるという意味です。基本は心房ペーシング(AAI)、時に心房心室ペーシング(DDD)に切り替わるモードです。

まずは、なぜこのようなモードがあるのかについて解説します。

最近の流れとしてはSSSの徐脈だけ、もしくは、間欠的な房室ブロックだけという場合に不要な心室ペーシングを避け出来る限り心房ペーシングのみで心臓に頑張らせたいという考えが主流です。

 

具体的にいうと、心房ペーシングで心房を刺激し、心室は自己の心室興奮(QRS)でてくれ!みたいなイメージです。

 

DDDのみである場合、心房ペーシングの後(スパイク→P波)に自己のQRS波が出なければすぐに心室ペーシングでサポートしてくれるため(スパイク→QRS波)、心室は自分の力で動くことをサボります。そこで基本はAAI(心房ペーシング)で心房のみを刺激し、心室はサポートせずに、心室さん、自分の力で動けよ!とスパルタ教育しているイメージです。

では、なぜ不要な心室ペーシングを避けたいのか疑問ですよね?

 

〈心室ペーシングを避けたい理由〉

心室ペーシングはリードを右室に留置するため右心室ペーシングを行なっていることは何度か解説しています(VVIとDDDのモード説明を参照)。右心室ペーシングをしているので右脚が先に刺激され遅れて左客に刺激が伝わるため、左脚ブロック型のQRSになります。

すなわち(右)心室ペーシングは
➡︎スパイク→右脚→左脚→プルキンエの順番に刺激が伝わる!

正常な刺激伝導系では右脚、左脚には同時に刺激が伝わり心室収縮しますよね。しかし、心室ペーシングを行うと右脚に遅れて左脚に刺激が伝わるため左脚ブロックと同じような現象が起こるため、先に右室が収縮し少し遅れて左室が収縮します(心室収縮の不調和)。

このように心室収縮の不調和が心臓のポンプ機能悪化に関連して左室拡大や心肥大、心房拡大、心房細動などに関与すると考えられており長期的にみて悪影響があるため不要な心室ペーシングは避けたいというわけです。

メドトロニック社が出しているペースメーカーについている機能として「MVP」というモードがあり
日本ライフライン社が出しているペースメーカーでは「SafeR」と呼ばれるそうです。

まとめると、

  • メドトロニック社のAAI⇄DDD=MVPモード
  • 日本ライフライン社のAAI⇄DDD=SafeRモード

すなわち、MVP=SafeR➡︎ AAI⇄DDD

ペースメーカーを出している会社によってアルゴリズムが異なるので細かい機能まで把握するのはほぼ不可能だと思いますが、もし困ったことがあるなら各社のアルゴリズムを確認するといいと思います。

また、AVディレイを自動的に延長し自己の心室興奮(自己のQRS)を可能な限り出させでなければAVディレイを短縮させ心室ペーシング(スパイクが出る)を行う「VIP」という機能もあります。

AVディレイを自動的に延長するということはPQ時間を延長させるのでQRS波が自分の力で出ることを待つということになります。

この機能も心室さん、自分の力で動けよ!とスパルタ教育しているイメージでいいと思います。

 

⑤AOO=心房固定ペーシング、VOO=心室固定ペーシング、DOO=心房心室固定ペーシング

これらのモードは病棟では基本見ることのないモードです。基本は手術室で用いられるモードです。

「O」とは機能なしと覚えるとイメージしやすいです。

【AOO=心房固定ペーシング】

  1. ペーシング部位(1文字目)がA(心房)
    →人工的な刺激で動かしたい部位が心房という意味
  2. センシング部位(2文字目)はO(機能なし)
    →ペースメーカーで人工的に動かさなくていい場合に感知する部位(自己脈を感知する部位)がない、すなわちセンシング機能なし
  3. 反応様式(3文字目)もO(機能なし)
    →同期も抑制の機能なし

AOO(ペーシング:心房、センシング:機能なし、反応様式:機能なし)

心房ペーシングの機能しかないため心房固定(心房強制)ペーシングという。

 

【VOO=心室固定ペーシング】

  1. ペーシング部位(1文字目)がV(心室)
    →人工的な刺激で動かしたい部位が心室という意味
  2. センシング部位(2文字目)はO(機能なし)
    →ペースメーカーで人工的に動かさなくていい場合に感知する部位(自己脈を感知する部位)がない、すなわちセンシング機能なし
  3. 反応様式(3文字目)もO(機能なし)
    →同期も抑制の機能なし

VOO(ペーシング:心室、センシング:機能なし、反応様式:機能なし)

心室ペーシングの機能しかないため心室固定(心室強制)ペーシングという。

 

【DOO=心房心室固定ペーシング】

  1. ペーシング部位(1文字目)がD(心房と心室)
    →人工的な刺激で動かしたい部位が心房と心室という意味
  2. センシング部位(2文字目)はO(機能なし)
    →ペースメーカーで人工的に動かさなくていい場合に感知する部位(自己脈を感知する部位)がない、すなわちセンシング機能なし
  3. 反応様式(3文字目)もO(機能なし)
    →同期も抑制の機能なし

DOO(ペーシング:心房と心室、センシング:機能なし、反応様式:機能なし)

心房と心室ペーシングの機能しかないため心房心室固定(心房心室強制)ペーシングという。

 

AOO、VOO、DOOの3つのモードは全て強制ペーシングであり自己脈は関係なく一定のリズムでペーシングが入ります。

 

〈なぜAOO、VOO、DOOが必要か?〉

手術時の電気メス、アブレーションなどによる電磁障害を防ぐ目的で使用されることが多く、ノイズを自己脈とセンス(感知)しペースメーカーが作動しなくなるのを防ぐ目的がある

〈AOO、VOO、DOOのデメリットは?〉

自己脈を無視してペーシングが入るためスパイクon T をおこす可能性がある。そのため、自己脈よりも高いHR設定にして自己脈を出さないようにすることが一般的です。

 

2.まとめ

AAI=心房ペーシング

  • ペーシング、センシング共にA(心房)でリード(導線)は右心房に留置
  • 適応はAF、AFLなどを認めない、房室ブロックを認めない、この2点を満たす場合に有効

 

VVI=心室ペーシング

  • ペーシング、センシング共にV(心室)でリード(導線)は右心室に留置
  • 適応は心房ペーシングが有効ではない場合、房室ブロックがある場合、徐脈性心房細動の場合に有効

 

DDD=心房心室ペーシング

  • ペーシング、センシング共にD(心房と心室の両方)であるためリード(導線)は右心房と右心室に留置(リードが2本)
  • 適応はSSSで房室ブロックを伴う場合、完全房室ブロックの場合に有効

 

MVP➡︎AAI(R)⇄DDD(R)、基本は心房ペーシング(AAI)、時に心房心室ペーシング(DDD)に切り替わるモード

  • 心室ペーシングを避けたい理由は心室収縮の不調和が心臓のポンプ機能悪化に関連して左室拡大や心肥大、心房拡大、心房細動などに関与するから

 

 

モードの話は終わりです。

以上、bob.channelでした〜

読んでいただきありがとうございます。

 

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